『全線全駅鉄道の旅』(小学館、1981-82年、全12巻)に連載された「鉄道旅行のたのしみ」と、『国鉄全線各駅停車』(小学館、1983-84年、全10巻)に連載された「駅は見ている」を一冊にまとめたもの。 「鉄道旅行のたのしみ」は、日本全国の国鉄路線を東海道、関東、近畿、山陽・四国、九州、北陸・山陰、中央・上信越、東北、奥羽・羽越、北海道の11の区域に分け、おおまかな特徴を述べたもの。地域の風土と路線の関係が指摘されており、面白い。 しかし本書の読みどころは後半の「駅は見ている」。名古屋、新宿、天王寺、高松、直方、米子、塩尻、青森、新庄、岩見沢と、各地方の中心となる10の駅が取り上げられ、それぞれの駅がどのような役割を果たしているか述べられる。朝から晩まで一日中、駅にいて、乗客の様子とか駅員の働きぶり、列車の運行などを見つめた観察記となっている。時間帯によって駅の役割が変化したり、岩見沢なら石炭、新宿なら通勤客と、特徴があって新鮮だった。